屋久杉先生いわく、知って得する音楽療法のお話

　音楽療法は認知心理学や臨床心理学、精神医学、脳科学の分野で様々な研究がなされ、私たちの脳に好ましい影響を与えることがエビデンスとして確立された療法です。勿論（もちろん）、私たちの脳に好ましくない影響力を与えることも証明されていますが、ここでは、知って得する音楽療法の話をします。

 

　そこで、大人として知って得をする音楽療法の幾つかの具体例を紹介します。私の話を理解し、得心し、腑に落ちるようでしたら実践されてください。といっても、実は、読者の皆様は既に実践しているのです。

 

　人にはそれぞれに好きな音楽があり、その音楽は、人の心や生活に大きな影響力をもっています。音楽には、「集中力アップの効果」や「モチベーションアップの効果」、「癒やしの効果」などがあることは、これまでの認知心理学や臨床心理学、精神医学、脳科学の分野でエビデンス（客観的な証拠）が確立されています。

 

【具体例１】人は無意識のうちに自分の心の状態にあった音楽を脳内で選択し聴いている。

 

　人は、悲しいときや気分がふさぎがちなときには、それに見合った音楽を聴きます。それが正常な反応だからです。自分の気持ちや気分に向き合った音楽を聴くと、心が安らいだり、気分や気持ちを癒してくれたりすることが数々の研究で証明されています。また、意欲的な気分になっているときは、それに見合った音楽を聴きます。
これもまた正常な反応だからです。このように人は無意識のうちに自分の心の状態にあった音楽を脳内で選択し聴いています。

 

　この原理を「同質の原理」と言います。

 

　この「同質の原理」は、音楽療法として、確立され、様々な分野で活用が図られています。例えば、虫歯の治療に行くと、治療室の多くは、落ち着いたクラシックが流れています。病院の手術室もそうなんですよ。※医師の嗜好によって異なります。

　決してロックンロールなどの曲は流れません。なぜ、虫歯の治療室では落ち着いたクラシックの音楽が流れるのでしょうか？その根拠は、患者さんの気持ちをリラックスさせるためです。落ち着いたクラシック音楽には、患者さんの脳波をアルファ波（α波）に整え、精神状態をリラックスさせる効果があるからです。喫茶店に行くと、よくスローテンポのジャズやボサノバが流れていますが、それらも人の精神状態をリラックスさせるための工夫なのです。

 

「そのときの自分の気分や気持ちに合わせた、自分好みの音楽を聴く。」

これこそが、音楽療法の「同質の原理」なのです。

 

したがって、

〇　悲しみに包まれた時は、ちゃんと悲しみに向き合うための音楽を聴く。

〇　気分がふさぎがちな時は、心をちゃんと休ませ、癒してあげるような音楽を聴く。

 

　読者の皆さんも、そのような精神状態の時に、聴いていて、心がそっと落ち着く音楽があると思います。
実は、人間の脳と音楽には、密接な関係があるのです。

 

　具体的にいうと、脳波とは、脳の活動を100万倍に増幅して記録した波の形のことをいいます。その時の精神状態(焦りや怒り、緊張、安静)を表し、それを数値として波の形で表すのです。人間が目を閉じ安静にし、リラックスしているときや、１つのことに集中しているときに大きくなるのがα（アルファ）波です。逆にβ（ベータ）波は脳が活動をしているときに大きくなります。つまり、β波とは脳が活発化し、覚醒した状態のことを意味します。他にも様々な脳波があります、θ(シータ）波は睡眠時に大きくなり、γ（ガンマ）波は眠りの深いときに大きくなります。私が言いたいことは、α波が出ているからリラックスしているのではないのです。心の癒しを求め安静な状態を保つ音楽を選択し，聴くことで、精神状態がリラックスした結果としてα波が出るのです。

　人間は、脳波がα波になると、副交感神経が優位に働いている状態になります。副交感神経とは、心の状態を落ちつかせ、安らぎと癒しをもたらす神経システムのことです。

 

【具体例２】人は無意識のうちに今の自分が表現したい言葉や訴えたい言葉、或いは、自分に言い聴かせる言葉に見合う音楽を、脳内で選択し聴いている。

 

　これが音楽療法の、「心の代弁機能」です。

 

　つまり、音楽は、自分の心を映し出す「鏡」なのです。

　その時その時の自分の気持ちに寄り添ってくれる言葉を含んだ音楽を聴いたり、自分に成り替わって自分の気持ちや考えを代弁してくれる音楽を聴いたり、自分の気持ちを癒してくれる言葉を含んだ音楽を聴いたりする機能が脳の中に備わっているのです。

 

　自分の気持ちや考え、生き方などを代弁してくれる音楽に出逢えると、嬉しいですよね。皆さんもご自分の気持ちや考え、生き方などを代弁してくれる、そんな音楽をたくさんお持ちではないでしょうか。

 

　音楽とは、その時その時の気分や気持ちを映し出す「鏡」です。つまり、自分の内面にあるものを一度、自分の脳の中から外側に音として映し出す働きがあるのです。その営みによって、人は自分の内面を客観的に見つめることになるのです。ちなみに、私の場合、中枢性疼痛という激しい痛みとそれに伴う「外因性のうつ病」があります。

中枢性疼痛・・・現在の医学でも治らない
常時痛い（睡眠を除く）
うつ病・・・・・気力の喪失と無感情
生活の質の極度の低下

 

私は・・・
難治性の病に希望が見い出せないときが長かった。
でも、諦めたくない。諦めたら終わりだ。
いつまでも失意のどん底にいるわけにはいかない。愛する妻と子供を養わねばならない。

いつまでも痛みを言い訳にして、現実から目を背けるわけにはいかない。本当は、今すぐにでも働きたい。でも、激しい痛みとそれに伴う無気力感がいつまでも私の中に居座っている。

少しずつでいい。私は変わりたい。
自分の殻を壊し、一歩でも前に進みたい。このままで終わりたくない。

私は変わるのをためらわない。

 

　そんな気持ちで生活していた時に、聴いた曲が「 Ｉ WANNA CHANGE 」でした。
私の心を映し出す「鏡」でした。この曲に運命的な出逢いを感じました。

　この曲は、バイオレンス映画「クローズ」で用いられた事で、一躍有名になりました。映画そのものはバイオレンスです。荒くれ者たちが登場する映画です。私の中学生時代の校内暴力最盛期の頃を思い出します。でも、私はこの映画の内容を俎上に載せて、誤っていると一刀両断に否定することも、その是非を議論するつもりもありません。
　私が伝えたいことは、今の私の気持ちや考えを対弁してくれる共感的な気持ちそのものなのです。ゆえに映画の映像から一度切り離して聴いている次元にあるのです。

 

　私の感性は、安っぽいバイオレンスに共鳴はしません。私の魂に語りかけてくる何かがあればこそ、共鳴するのだと思います。この楽曲には、映画の内容とはかけ離れた、人間の苦悩とその葛藤と、希望を見出すことの重要性を表現するシンボリックな存在であると考えます。

 

「俺は変わりたい。」そう心から私は願っているから。

 

「自分の殻を壊し続ける」そう心から願っているから。

 

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※バイオレンスな映像のあるＰＶなので、苦手な方は、歌詞だけ読んで観ない方が良いと思います。

 

 

★　THE STREET BEATS　★

 

『Ｉ WANNA CHANGE 』

作詞:ΦKI 作曲:ΦKI＆SEIZI

 

ワイルドサイドの 友達に　伝えておきたい 事がある

 

今は遠く、遠く 見える 灯でも　信じてみるだけの 価値がある

 

老いぼれた 真昼の交差点に　羽を失くした 鳥達の 群れを見る

 

自分らしく 生きようと あがいてみるが　自分の正体が いまだに わからない

 

羽は 太陽に焼かれ　翔ぶ事も できないが

 

俺は翔びたい　翔び続けたいよ　俺は翔びたい　翔び続けたいよ

 

罪人(つみびと)が そうする ように　ひとりよがりで 孤独な世界を守る

 

失くすのを 恐れるばかりで 変われず　守るふりしては 言い訳を 繰り返す

 

腹の底から 笑えない　時代のせいに したくない

 

俺は変わりたい　変わり続けたい　俺は変わりたい　変わり続けたい

 

I Like Wanna Change　I Wanna Change！！

 

ワイルドサイドの 友達に　伝えておきたい 事がある

 

自分らしく 生きるって どういう 事だ自分の殻を 壊し続ける 事だ

 

移りゆく 季節(とき)の中で　誰もが 自分を探す

 

俺は変わりたい　変わり続けたい　俺は変わりたい　変わり続けたい

 

I Like Wanna Change　I Wanna Change！！　※繰り返し

 

最後まで読んで頂き、誠にありがとうございました。感謝致します。